グランドの向こうに、見慣れた顔があった。
小学校でいっこ上だった、高橋くんだ。
放送委員会で一緒だった。
「高橋くん!」
呼ばれて振り向いた彼の目は、すこしつり上がっていた。
なんとなく……敵意も感じられる。
なぜ?どうした?気分でも悪いのか?と、
思っていると高橋くんが口を開いた。
「高橋……くん?」
「高橋せんぱい、だろ?」
「まあ、いいわ、これからは気をつけろ。」
そんな捨てゼリフを残してスタスタと向こうへ行ってしまった。
「もう小学校じゃないんだ。違う世界に来たんだな」
とリアルに悟った瞬間だった。